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でっかい独り言、内緒話に戯言三昧

でっかい独り言、内緒話に戯言三昧

正社員 その1

 短大卒業後、母方の親戚の紹介で建設会社へ事務として入社した。ま、コネ入社である。父は外資系の石油会社勤務だったので、会社と言うものはそう言うものだと思っていた。ところが、入社して大打撃をうけたのだ。出社時はスーツだけど、社内では作業服だし、朝、昼、3時には女性社員がフロアにいる全員分のお茶汲みをするし、終業時にはゴミ集めをするし、なんといってもラジオ体操を毎日するのだ!土曜日も休みじゃないし、残業もして当たり前。制服は楽だったけど、掃除当番やらお茶汲み当番やら、学校でもそういうことはしていなかったから、真っ青になった。「これが仕事なのかい?」と。

 とはいえ、ここで学んだことは実に多い。横柄な人、会社の名前、卒業した学校でしか判断しない人、相手の立場を全く理解しない人、人として尊敬できない人の集団のようなところだった。
 だがもちろん、尊敬できる人もたくさんいた。その人たちは学歴だろうが、経歴だろうがそんなものは気にしないし、肩書きで人を判断するようなこともなかった。幸いにしてそういったかたがたにかわいがって頂くことができなのはありがたいことだった。
 仕事の内容は事務と受付だった。受付は当番制だったのだが、どうにもこうにも中途半端なのがいいやで、毎日午前中は私が担当し、午後を当番制にした。こうすることで、それぞれの仕事の能率も上がったのだ。
 この時、取引先の女性で、とても素敵な方がいた。たかが受付の私にも丁寧に挨拶をしてくださり、毎回きちんと名乗って約束か突然かをきちんと告げて下さる。(逆をかえせば、こういう事を全くしないお客さんが普通だったのだ)いつもしゃんとしてて「こういう女性になりたいなぁ」と常々思っていた。その方が退社なさるということで挨拶にいらしたのだが、最後に私に「いつも気持ち良く迎えて下さってありがとうございました」と言って下さったのだ。人って鏡なんだなぁと思った一瞬だった。私は彼女が素敵だったので、まねをしただけなのだ。あとから聞いたのだが、「いつきても笑顔で迎えてくれるから、来るのが楽しい」と担当者に言っていたそうだ。
 取り引き先の人でも顔を覚える、先手先手をうって対応する、相手がひどいからと言って、自分まで粗雑にならないようにしよう、そう思って受付を続ける励みになった。

 実は、この会社でだんなと出逢った。「お手軽な社内恋愛」とは母が言った言葉。でもねぇ、他に出あう場所なんてなかったしねぇ。この会社には3年半いた。退社した理由は
1、通勤(ラッシュ時は2時間ほどかかった)に疲れ果てた
2、つきあっている人と同じ会社にいるのはしんどかった
3、高卒のだんなの給料を短大卒の私が抜いた。
この3、は未だにだんなは知らない。私は総務だったので全員の給料を知っていたのだが、だんなの同期でも差が付いてきていたり、賞与にかなりの差があることを知ってしまったので、とてもじゃないが同じ会社にはいられなかった。また、当時だんなも若かったので、仕事上の苛立をこちらに当てることも少なくなかったのだ。同じ会社にいることで、だんなと同じサイドからではなく、逆サイドの話しも聞こえてくる為に、ついついだんなを諌めることが多くなってしまうのも辛かった。
 どうしようか悩んでいる時に、仕事でペアを組んでいた先輩の結婚が決まり、退社することになった。「私がやめるとやめられなくなるから、先にやめちゃいな」という先輩の薦めのもと、退社した。
 バブル真っ盛りの頃の話しだ。


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